石は大きく、水は清冽。
水量も多く、川幅は20〜30m。
東北地方の山里に
釣り人ならだれもが「いいなあ」と思う景観の川が流れている。

仮に、この川をA川としておこう。

A川は15年ほど前までは
夏になると全国各地からのアユ釣り客で大層賑わった。
もちろん、春はヤマメ、イワナも釣れるが
夏場の釣り客は春の10倍はらくに超えていただろう。
東京からもマイクロバスを貸し切って
アユ釣りクラブが例会などを頻繁にやっていた。

ところが、琵琶湖産のアユに冷水病が蔓延してからというもの
A川は毎年のように不漁が続いた。
アユ河川の多くが冷水病対策のため
琵琶湖産アユの放流を見合わせていったが
A川は放流し続けた。

往年のA川でのアユ釣りを知る人たちは
それでもシーズンに何度かA川に足を運んだが
不漁が5年続き、10年続くうちに
遠来の釣り人はほとんどいなくなってしまった。

琵琶湖産アユの放流をめぐっては
業者と漁協放流担当者との癒着が発覚した河川もあり
実際に逮捕された組合員もいる。

ひょっとしたらA川もそうなのじゃないかという噂が
流れるようになった。

そんなわけでぼくももう
A川にアユの取材では10年以上も行っていない。

先日、A川が潤す村の関係者から聞いたのだが
アユ客を呼び戻すために今夏
A川漁協は環境コンサルタント会社にお金を払って
河川環境を調査してもらうのだという。

信じられないことに
漁協は放流アユが死んでしまうのは
放流種苗が悪いのではなく
河川環境が悪いからだと考えたそうなのだ。

ぼくに、そのことを話してくれた関係者によると
その環境コンサルタント会社は
アユのことはほとんど分かっていないようで
天然アユと放流アユの違い
人工産アユの現状など、なにも知識がなかったという。

そのようなコンサル会社に高額な調査費用を払い
いったい、何を調べてもらおうというのだろうか。

すべての環境コンサルタント会社がそうとは言わないが
環境コンサルタント会社というのは仕事柄
建設業者や役所との癒着をどうしても疑われてしまう。

今回の調査が漁協とコンサルとの癒着ではなく
放流アユ河川に救いの手を差し伸べるべく
画期的な試みであることを願うばかりである。

(山根)