この夏、越後湯沢を潤す魚野川に行ったとき
「あっ!」
と声を上げてしまった。

周囲の山々の所々が
すでに紅葉しているのである。

ナラ枯れである。

カシノナガキクイムシという名のキクイムシに
ナラの木がやられてしまったのだ。

今、日本海側を中心に
このナラ枯れの被害が広がっている。

その理由を
「温暖化のせいである」
と決めつけている御仁もいるが
はたして、そんなに単純なことだろうか。

林業に精通するアユ釣りのベテランは
「林野行政が招いた人災だ」
とつぶやいていた。

ご存知のように
我が国の林野行政は疲弊しきっている。
本来、植林など人の手が入った山は
定期的に間伐など手入れをせねばならないのだが
放置されっぱなしの山が増えている。

キクイムシが巣食いやすいのは高齢の樹木である。
つまり、本来なら伐採されるべきはずの老木が
そのまま放置されているのが現状であり
そのような山はキクイムシたちにとって
願ったりのパラダイスなのである。

話は変わり、クマである。
最近、クマの被害が凄まじいことになっている。
昨日などは
富山県の砂浜で海釣りをしていた釣り人が
背後からツキノワグマに襲われた。

北海道でもヒグマが斜里町の町中を
白昼堂々と闊歩していた。

なぜ、クマは人里に降りてくるようになったのか。

山にエサがないからだ。

なぜ、山にエサがないのか。

山が荒れ放題だからだ。

林野行政の行き詰まりが招いた事態である
といっても過言でないだろう。

ある意味、クマは被害者なのだ。
だが、人間は容赦しない。
いとも簡単に撃ち殺してしまう。

そして
「温暖化は恐ろしいなあ」
となんでも温暖化のせいにしてしまう。

本当に恐ろしいのは人間なのだ。

上記はあくまでも一釣り人である
ぼくの私見であるが
ヒグマの真実を知りたい方には
ぜひ
熊のことは熊に訊け
をご一読いただきたい。

(山根)