5歳下のワイフは
金八先生をまともに見たことがないという。

だから、先日放送された
金八先生ファイナルを見ようともしない。

したがって、ぼくも見られなかったが
ワイフが子供を寝かせに床に入ってから
チャンネルを切り替えた。

金八先生というと
多くの人が主題歌である「贈る言葉」を口ずさむだろうが
ぼくにとっての金八先生は
中島みゆきの「世情」である。

「世情」といえば
3月11日の震災の日。
ぼくは、千代田区神田から
川崎の0メートル地帯まで歩いて帰った。

皇居の周りの内堀通り、外堀通りを経て
国道1号、国道15号を5時間かけて歩きとおした。

その間、路上には人波が絶えず
3車線道路の左車線は歩道と化していた。

ぼくは人ごみが大の苦手で
三軒茶屋の高校に電車で通っていたころは
よく車内で人酔いをしたほど。

しかし、あの日、人波にもまれながら
群衆との奇妙な一体感を覚えていた。
あの一体感はなんだったんだろう。

そして、奇妙な一体感に包まれた、
ぼくの脳裏を繰り返し流れていた曲が
中島みゆきの「世情」だった。

「♪シュプレイヒコールの波、通り過ぎてゆく
  変わらない夢を、流れに求めて〜」

金八先生ファイナルを見ながら
ふと、あの夜を思い出したのだった。

(山根)