この時期
雑木林のような場所に行くと
カブトやクワガタをつい探してしまうオッサンは
ぼくだけではないはず。

川崎市で生まれ育ったぼくにとって
地元でカブトのオスを捕ることは
東京湾の磯や堤防でクロダイを釣るのと
同じくらいの難易度。

子どものころは
夕方早い時間に目星をつけた木に蜜を塗り
夜に懐中電灯を手によく行きましたが
5回行って一匹捕れればいいほう。

かろうじてコクワやノコギリのメスをゲット
という展開が多かったな〜。

さて、先日、飯館村に行った帰り
福島市の郊外にある雑木林に行きました。

26
黄昏のフクシマ

微かにカブト臭がしたので
「ひょっとして、この林でカブト捕れますか」
と同行者に聞いたところ
「今時分はいくらでも捕れますよ」
とあっさり。

「またまた〜、カナブンじゃなくてカブトですよ」
と念を押すと
「カブトだけじゃなくてノコもミヤマもいっぱいいますよ」
とのこと。

すぐそこに、いい木がありますからというので付いていくと

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「ウオ〜ッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!」

遠目にもそれと分かる光景が。

ヤナギの若い木に
カブトが何匹いるかすぐにはカウントできないくらい蠢いている。

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ミシミシとカブトのオスがケンカする音まで聞こえてくる。

特別にカブトを寄せるための何かをしているわけではなく
フクシマの雑木林の夏の日常なのだそう。

今回、飯館村〜相馬に行き
10人近い人たちと話す機会を得ました。

東京で働いている我々が想像しているよりも
みなさんは放射能に敏感で
さまざまな対策を講じていました。

中には強制的に避難させられてしまった人もいましたが
その他はみな、生まれ育った土地を心底愛していることが
ひしひしと伝わってきました。

春は山菜とヤマメ、イワナ、アカハラ(ウグイ)。
夏はアユ、秋はサケ、マツタケ、冬はキジ、イノシシ……。
春夏秋冬、豊穣の森と川は
さまざまな恵みをフクシマの人たちに与えてくれます。

この豊かな土地から
どうして簡単に離れることができましょう。

まずは、一刻も早く第一原発からの放射能放出を止め
これまでに汚染された土地を徹底的に除染するなどして
フクシマを放射能汚染から守らなければなりません。

今こそ、国民が一丸となって
その方向へ向かうべきではないかという思いを
カブトの木を前に
心に刻むのでした。

(山根)