少年時代
ぼくは釣りや虫取りに明け暮れていた。

不思議なことに
生き物に触れた記憶というのは
何十年経っても、色あせることがない。

カブト、クワガタ、カマキリ、バッタ、コオロギ
セミ、カタツムリ、チョウ、トンボ、ナナフシ、カエル
アオダイショウ、トカゲ、ザリガニ、ゲンゴロウ……。

目を閉じると
それらを捕まえて家に持ち帰った日々の記憶が
ありありと蘇る。

また、ハチの巣退治というキケンな遊びをしていて
アシナガバチに顔をボコボコにされたことや
ススキに巣を作るクモに刺されてウデがパンパンに腫れたこと
防空壕跡に入ったら、天井からゲジゲジが雨のように降ってきたこと
ヤマカガシに噛まれて焦ったこと
田んぼでザリガニを捕っていて木刀を手にした農家のおじさんに追いかけられたこと
などなど、当時の恐怖や痛みを鮮明に覚えている。

あの頃は毎日、楽しかったな〜

さて、ソルトルアー界の第一人者
加来匠さんが、そんな少年時代の思い出を綴った
うさぎ美味しいかの山が発売になりました。

420

昭和30年代、九州の片田舎での物語は
昭和50年代の川崎のぼくの少年時代よりも
ずっと刺激に満ちています。

なにせ、加来さんは
♪うさぎ追いし かの山
を、ずっと
♪うさぎ美味しい かの山
と思っていたそうです。

月刊つり人で連載して大反響だったものを
一冊にまとめさせていただきました。

ぜひとも、自分の少年時代を思い浮かべながら
読んでみてください。

(山根)