芥川賞の受賞作品は読みづらい
などとよく言われます。

第148回の受賞作「abさんご」などは、その象徴ともいえます。

意外だったのが
「気の小さい都知事閣下のためにもらっといてやる」
と受賞会見で言ってのけた
田中慎弥さんの「共喰い」。

第146回の受賞作品で、とても読みづらいという触れ込みでしたが
あの偏屈そうな人が書いたとは思えないほど美しい文章で
歴代受賞作品の中でも、かなり読みやすかったと感じました。

釣りの描写が多いので
読みづらいというより、
一般の人には理解できない
ということなのではなかろうかと思いました。

田中さんは、これ以前に4度芥川賞の候補になったそうで
第144回の候補に挙がった「第三紀層の魚」などは
まるで、釣りの小説です。
相当の釣り好きに違いありません。

東京湾の干潟「十六万坪」埋立反対運動が盛んに行なわれていた10年ほど前
「江戸前のハゼを守れ!」
とシュプレヒコールをあげる釣り人たちを嘲笑うかのように
「干潟が埋め立てられてもハゼはどこかに行くでしょう」
と当時の石原都知事はのたまいました。

その暴言により石原前都知事は、多くの釣り人を敵に回したわけですが
ひょっとすると田中さんも、その中のひとりだったのかもしれません。

(山根)