11時の開店とともに銀座東作へ。
和竿作りである。
僕が作っているのはクロダイのヘチザオ。
丸節の印籠継ぎ。
夏までには仕上げてクロダイを釣りあげる
つもりでいたのだが、このままでは危うく
なってきたので、休日返上である。
僕が支度を済ませると同時に兄弟子の松川さんがやってきた。
松川さんは一昨年から東作の竿作り教室に通い始め
すでに16本もの和竿を仕上げたという。
東作店主であり先生でもある松本和彦さんいわく
十数名いる生徒の中でも、1,2を争う腕前だという。
現在は布袋竹のヘチザオと6本継ぎのコンパクト和竿
を同時製作中なのだが、これが見事な出来栄えで、
素人の目にはベテランの江戸和竿師の作品と
見分けがつかないほどである。

頼りがいのある兄弟子、松川さん
うれしいことに、月刊つり人の愛読者でもある。
先生が接客中のときなどは
僕は松川さんにアドバイスをいただいている。
さて、今日は日本橋三越で開催されている
伝統工芸品展の最終日である。
桶、箪笥、着物、刃物といった
伝統工芸の職人さんが実演を交えて
お客の質問に懇切丁寧に答えてくれるのだ。
その中に江戸和竿コーナーもあるので
僕は和竿作りが一段落したら足を運ぶつもりでいた。
すると、兄弟子も行くというのでご一緒させていただいた。

伝統工芸品展に展示されていた江戸和竿
銀座から歩いて15分ほどで日本橋三越である。
江戸和竿コーナーでは竿しばさんが実演していた。
竿しばさんは現在発売中の月刊つり人4月号
にも登場していただいており、
うれしいことに、月刊つり人4月号を
実演台の横に置いてくれている。
「いやいや、三越の本屋では売り切れたというので
八重洲まで買いに行かせたんですよ(*^_^*)」
と竿しばさん。
ありがとうございます!!
竿しばさんは新小岩で竿しば釣具店を営んでおり
荒川でテナガエビやハゼを釣る際などに
何度か立ち寄らせていただいている。
とても気さくで温かい職人さんである。

和竿作りの実演をする竿しばさん
それにしても。
世の中、上には上がいるというが、
江戸和竿の職人が仕上げた和竿は
やはり別物である。
松川さんも並べられた和竿にしばし釘付け。
僕などはただその出来栄えに感動し、
値札を見てはそろばんをはじくだけなのだが、
兄弟子は塗りや仕上げ方をじっくり見ては
脳裏に焼き付けているようである。
僕も兄弟子を見習ってもっともっと真剣に
和竿作りに励もうと心を新たにしたしだい。