沖縄県南城市のサキタリ洞遺跡で
約2万3000年前の旧石器時代の貝製の釣りバリが見つかったそうです。

これは過去に東南アジア・東ティモールで出土した
貝製の釣りバリと並ぶ世界最古級で、
材料や加工法も共通しているんだとか。

このニュースに冷や水を浴びせるわけではないですが
釣り一筋70年の釣り専門誌編集部としては
この類のニュースは慎重に扱わねばなりません。

ちなみに、東ティモールの遺跡から釣りバリが出土した際、
大手メディアではこぞって
「人類、4万年前から釣り? 東ティモールで釣り針発見」
というような見出しを記事につけていました。

それが本当だとすると大変なことなので編集部で調べたところ、
4万年前というのは遺跡自体のことであり、
出土した釣りバリは1万〜2万3000年前ということでした。
発見者にインタビューしたところ、
本当に釣りバリとして使われていたかどうかも、
断言するのは難しいということでした。


それを受けて2012年3月号に当時の編集長が
コラムで釣りバリの起源に関して書いたので以下に抜粋いたします!


釣りバリの起源については諸説があるが、
明石原人の発見者として知られる考古学者の直良信夫氏の研究が、
最も信頼のおけるものとされている。

直良氏の著書『釣針』(法政大学出版局刊)には、
釣りバリがどのように生まれてどのように広まり、
どう進化してきたのかが丁寧に解説されている。
釣りバリの起源を3万年前のウクライナ地方とみる向きもあるようだが、
直良氏はこの説を採用していない。

氏が長年にわたり世界各地の貝塚や遺跡を調査した結果、
釣りバリは約1万年前の北ヨーロッパに発生し、
放射線状に世界各地に広がっていったという。
1万年前というと日本では縄文時代中期にあたる。

したがって、東南アジアの小さな島国で
4万年前にすでに釣りがされていたというなら世紀の大発見というところだが、
出土した釣りバリ自体は1万1000年ほど前のものという。
さらに、写真を見るかぎり、北欧新石器時代の釣りバリに見られるような、
イトを結ぶための穴やミミ、ハリ先のカエシなどが確認できない。

直良氏によると、旧石器時代の遺跡から出たモリには、
カエシが付いているものがあるという。
これが、釣りバリの原型と氏は見ており、
1万年以上前の釣りバリらしき骨片は、
モリやヤジリの破片かもしれないというのだ。

いずれにせよ、当方は考古学などまったくの門外漢である。
実際の調査に当たった、東海大学海洋学部にコンタクトを取り、詳細を近々、小誌にて紹介したい。

都心近郊のオアシス、金沢八景に程近い夏島には、
我が国最古級の夏島貝塚がある。
7000年ほど前の縄文時代のものとされており、釣りバリも出土している。

直良氏によると、夏島貝塚はじめ、
日本の貝塚から出土された釣りバリのルーツも、北欧に認めることができるそうだ。
しかし、『釣針』に掲載されたイラストを見るかぎり、
出来栄えは日本製のもののほうが精巧なように思える。
ミミに近い部分には、イト滑り防止用と思われるギザギザが刻まれ、
ハリ先には鋭いカエシが付いている。
稀代の考古学者をして「驚異に値する遺品」と言わしめている。

時代は進んで高度経済成長時代、
北欧生まれのリールやロッド、ルアーが海を渡って続々とこの島国にやってきた。
私も、それらに憧れたひとりであるが、
20年と経たぬうちにメイド・イン・ジャパンの釣り具が、世界を席巻することになるのだ。

日本人の器用さは今も太古も変わらないようである。


というわけで、沖縄の釣りバリに関しても
編集部で近々、調査してみたいと思います!

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写真は2012年7月号に掲載された東ティモールの釣りバリの考察記事です