ようやくブログネタが怪談から逸れた
のも束の間、月刊つり人9月号(7月25日発売)の校正で
「水辺の怪談」のゲラ(校正紙)を読んでいたら
自分の不思議な体験を思い出した。

今から14、15年前の学生時代の話である。

その夜、僕は翌日の釣りの支度を済ませ、
早々に寝床に入ろうとしていた。
すると、兄が部屋にやって来て
「ブラザー、駅まで送ってくれよ。スキー行くんだよ」
と言った。
当時、実家の最寄の駅には急行が止まらず、
誰かヒマ人がいるときは、車で10分ほどの
急行が止まる隣駅まで送ることになっていたのだ。

しぶしぶ車を車庫から出し、エンジンを温める。
ややあって、後部座席が開き、ドスンという音とともに、
兄が入ってきた。

車を走らせる。
「どこ行くんだよ?」
「スキーなんて面白いのか?」
「だいたい、まともに滑れるのかよ?」
「河口湖でニジマス釣ったほうが面白いゾ」

なんて話をしながらハンドルを握る。
道は比較的空いていて、10分弱でロータリーに着いた。
「はいよ、着いたぞ、気をつけてな」
と言って、後部座席を振り返ると、
なんと、そこにはスキーの荷物が置いてあるだけで
兄の姿がないっ!

兄が消えた!?

そんなバカな……。
言いようのない恐怖が車内を支配した。
震える手でハンドルを握り、
来た道を戻る。

来る時に車内で交わされた会話を思い出す。
うっ、待てよ、一方的に自分が話していただけだよな……。

事故が多いワインディングロードに差し掛かる。
カーブを曲がり切ったところで、
ライトの先に爆笑しながら走ってくる男の姿が。

兄だ。

消えたはずの兄が、狂人のように笑いながら、
車に猛然と走ってきた。

兄の話を聞くと、
とりあえず、荷物を後部座席に置き、
ドアを閉めて、助手席に乗ろうとしたら、
いきなり車が走り始めた。
最初はふざけているのかと思い、
走って追いかけたけど、なかなか止まらない。
通行人の注目を浴びながら
「待てよ!」
と叫びながら走ったけど、行ってしまった。
すぐに戻ってくるかと思ったけど、来ない。
アイツはオレが乗っていると思って駅まで
行ってしまったのだ。
そう考えると、なぜか笑いが止まらず、
でも、スキーの高速バスに間に合わないから
笑いながら走り続けたというのである。

以上、14,15年前の不思議な話でした……

なんでこんな下らない話をダラダラと書いてしまったのか。
校正で頭が朦朧としているからです。
ここまで読んでくださった方、本当に申し訳ございませんでした。