学生の頃にはタガメを捕っていましたが、
その調査生活は結構大変なものでした。
タガメは夜行性なので、調査は主に夜。
毎晩、マムシのいる水田を回ってタガメを捕り、
今になってみると
意味があるのかないのかよく分からないデータを取る。
で、農家の方々にもらった野菜を食べ、
大学の農場で作られた石混じりの玄米を掻き込んで寝る。

まあそれだけのシンプルな生活でしたが、
その舞台だったのがこの農家
……いや“タガメ研究所”でした。
研究所
タガメ研究所

「いやあ、優雅な生活だねえ」
田舎の農家での生活というと、
そう思われる方もいるかもしれません。
が、なにしろ建物が古いため、床はありこち抜けており、
夜になると布団の中にでかいムカデが入っているなんて
日常茶飯事。
もちろん、刺されたことも。

水は、飲料水はお隣の水道からホースで引いていましたが、
風呂などは井戸水を使用。
この水が妙な色をしているうえに、
すぐ横にある汲み取り式の便所にも水が溜まっているので、
同じ水なんじゃ……という疑いも。
どうも風呂に入ってもさっぱりしないような。
井戸
こちらが井戸

さらに、その水の溜まったトイレには、
大量の蚊がわいていました。
しかも水があるおかげで、大きなほうをすると、
オツリを避けるのにかなりのテクニックが要求されました。

とまあ、あまりきれいでない話を書きましたが、
そういう生活をしている(……いや、
周辺の農家ではそこまでひどくないはずですが)
場所だからこそ、
タガメが残されていたのかもしれません。

ともあれ、多少の苦労は
過ぎてしまえばただの思い出。
久し振りに訪れた“タガメ研究所”の前には、
もう一度、あの頃のように泊まってみたい……
いや、そうは思えない自分がいました。
(真野)


棚田
周辺は、こんな素晴らしい環境でしたが