9月6日、茨城県の城里町にて
霞ヶ浦導水事業に関するシンポジウムが開催された。

今や天然アユの漁獲量日本一ともいわれる那珂川。
その那珂川の水を巨大導水管で霞ヶ浦に入れ
霞ヶ浦の水をきれいにしよう
というのが同事業の主な目的である。

全く水系の異なる河川の水が合わさったらどうなるのか?
日本一ともいわれる天然アユに影響はないのか?

当然、こうした疑問が出てくるが
これに対して、
国土交通省は
そうした自然への影響が極力出ないよう
しっかりと調査したうえで事業に踏み切ったという。

では、いったい国土交通省はどのような調査をしたのか。
本当に自然への影響は出ないのか。
これを再検討するためのシンポジウムである。

5人の識者からは驚くべき発表がなされた。
特に衝撃だったのが
茨城大学名誉教授の高村義親氏の発表。
「導水で霞ケ浦は浄化されない。
それどころか、ますます悪化する。
那珂川も新たな水質汚染が発生する」
というものである。

高村氏の説明はとても分かりやすい。

代表的な水質の指標のひとつにCODというものがある。
これだけを見ると
那珂川は清流と呼ぶに相応しい2mg/ℓを維持し
霞ヶ浦は7・6mg/ℓとなっている。

だから国交省は那珂川の水を霞ヶ浦に引くと
霞ヶ浦の湖水を希釈する、CODを低下させる
と発表している。

しかし、
那珂川には湖水の富栄養化を増大させる
窒素やリンが霞ヶ浦の湖水以上に含まれている。

分かりやすくいうと
霞ヶ浦よりも栄養化が高い水なのである。
この水を富栄養化を防止しようとしている
霞ヶ浦に入れると
湖水が浄化されるどころか悪化させる。
具体的にはアオコの発生機会を増大させることになる。

こうしたことは
全国のダムが証明している。
たとえば神奈川県の津久井湖。

道志川を堰き止めて造ったのが津久井湖である。
道志川は都心から2時間ほどの距離にあるにもかかわらず
水はすこぶる清冽である。

しかし、流水がダムにより止水となると
たちまち富栄養化になり
水はグリーンに濁る。
全国のダムの水が汚いのは誰もが知っている。

国交省は霞ヶ浦近辺の住民に対して
那珂川の水が入れば
霞ヶ浦の湖水は浄化されて、生態系も豊かになりと
夢のような話を展開している。

自分たちに有利なデータしか発表せず
自分たちに有利なデータを提供してくれる学者の意見を重んじる。
これは、これまでのダム建設や河口堰建設、干潟の埋め立てなどでも
彼らが行なってきた常套手段である。

事業がこのまま進み
霞ヶ浦の湖水が今以上に汚濁され
那珂川の自然生態系が壊滅的ダメージを受けたとしても
彼らは言うだろう。

「被害は軽微である」と。
(山根)