前原誠司国土交通相が
群馬県の八ツ場(やんば)ダムの建設事業中止を明言した。

「工事が進んでいるのだから、今さら中止など言語道断」
という意見があるが
作ってはいけないものなのだから
工事が進んでいようがいまいが中止すべきであろう。

ダムができれば
それ自体、自然環境に与える影響は大きい。
アユやサクラマスのソ上はダムで阻止されてしまうし
ヤマメやイワナ、カジカなどの移動も
ダムにより制限されてしまう。

ダム下流部の水質が悪化するのは明白だ。

山々から染み出た「森の栄養分」は
本来は川を流れ下って海に届き
海藻を育てる。
海藻は微生物を育み
貝やエビ、小魚のゆりかごになる。

だから今は海の漁師が
植林をするのである。

しかし、そうした山から海への生態系も
ダムにより寸断されてしまう。

ダムの功罪はそれに留まらない。

ダムが造られれば
堆砂を防ぐために
ダムの上流部に砂防ダム(えん堤)が造られる。

その砂防ダムへの堆砂を防ぐために
さらに上流部に砂防ダムが造られる。

つまり、ひとつのダムが造られれば
その上流部には次々と砂防ダムが造られていくのである。

しかし、ダム建設に関する予算は
あくまでもダム工事に関わるためのものであり、
そうした砂防ダムなどに関わる建設費が
あらかじめ説明されることは少ない。

ダムを維持するためのそれらの費用が
多くの場合、県民が負担することになるにもかかわらずだ。

のりピ〜ではないが
ダム建設は一度やったら止められない麻薬のようなものなのだ。

民主党にはダム建設を中止するだけでなく
日本中にゴロゴロある
すでに存在価値のなくなってしまったダムについて
撤去していくことを期待したい。

ダム撤去となれば
それはそれで建設業界にも仕事が回るし
ダムにより寸断されてしまった
山→川→海の生態系が復活するからだ。

欧米では
「ダムによる治水には限界があった」
ことを国が認め、国民に謝罪し、
すでにダム撤去が行なわれている。

日本がダム撤去をしてこなかったのは
「前任者の否定はできない」という
役人の悪しき風習によるところが大きい。

政治主導で
ぜひともダム撤去を実現して欲しい。
(山根)