はじめての寿司屋では、まずヒカリ物をという定石にしたがい
昨夜行った寿司屋で最初にシンコと〆サバを頼んだ。
家から歩いて7〜8分の距離にあり
前から気になっていた店である。
30代後半の真面目そうな板さんがひとりで切り盛りしている。
まずは〆サバ。
松輪サバらしい。
脂がほどよく乗っていて
お酢の染み具合もまずまず。
シャリは小さめだが
ふっくらとしていて
一粒一粒がしっかりとして歯ごたえがいい。
旨い!
シンコは少しお酢が強すぎる気がしたが、
なにしろシャリが旨い。
「ひょっとしてこの店、当たりかな〜」
とうれしそうに細君。
「そうだな、まずまず当たりだね」
夜中の3時までやっているというので
終電で帰る途中に一杯やって帰宅する姿をイメージする。
近所にいい寿司屋があるというのは悪くない。
ほろ酔い気分で家に帰り
ソファーに寝っ転がってテレビを見ていると
突如、生唾がこんこんと湧き出てきた。
……?
慌てて洗面所に駆け込み生唾を吐き出すと同時に
ウラガ〜ッ!
ついさっき口にしたばかりの
まだ目に焼き付いている食材が
すごい勢いで洗面台に飛び散った。
大当たり。
以前、ヒラソウダガツオの血合いを捨てるのがもったいなく
身にたっぷり残して食べたときにも同じ現象が起きた。
今回はカツオは食べていない。
すると、犯人はサバか?
しかし、細君はなんともない。
とすればシンコ…
「ひょっとして、あの店で当たったの?」
「そうだな、ウゲッ、当たったな」
はじめての寿司屋でヒカリ物は気をつけたほうがいい。
(山根)